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★★★★★

一生に一度の傑作!

  

―Variety

新進気鋭のスタジオA24が放つ最新作

WAVES
ウェイブス

WAVES-ウェイブス-

傷ついた若者たちが、新たな一歩を踏み出すまでを鮮烈に描く希望の物語
超豪華アーティストによる31曲が全編を彩る。
ミュージカルを超えた
<プレイリスト・ムービー>

傷ついた若者たちが、新たな一歩を踏み出すまでを鮮烈に描く希望の物語超豪華アーティストによる31曲が全編を彩る。ミュージカルを超えた<プレイリスト・ムービー>
監督・脚本:トレイ・エドワード・シュルツ(『イット・カムズ・アット・ナイト』)出演:ケルヴィン・ハリソン・Jr、テイラー・ラッセル、スターリング・K・ブラウンレネー・エリス・ゴールズベリー、ルーカス・ヘッジズ、アレクサ・デミー作曲:トレント・レズナー&アッティカス・ロス(『ソーシャル・ネットワーク』、『ゴーン・ガール』)配給:ファントム・フィルム原題:WAVES /2019年/アメリカ/英語/ビスタサイズ /135分/PG12©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

4/10(金)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー

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Featuring Music by Frank Ocean kendrick Lamar

INTRODUCTIONイントロダクション

世界中の映画ファンが注目する新進気鋭のスタジオA24が放つ最新作

『ムーンライト』(16)、『レディ・バード』(17)、『ヘレディタリー/継承』(18)など、次々と話題作を発表してハリウッドに新風を吹き込む映画制作会社、A24。その作品はどれも個性的で、同時にアカデミー賞にノミネートされるほどのポテンシャルを持つ精鋭揃い。青春映画、ホームドラマ、ホラー……どんなジャンルの作品も、斬新な切り口でフレッシュな物語にアップデートしてきた。今やアメリカ映画界の最前線に立つ存在になったA24が、2020年代の幕開けに用意したのが『WAVES/ウェイブス』だ。

全編に流れる全ての曲が、
感情に寄り添い、
歌詞が心の声を伝える。
フランク・オーシャン、ケンドリック・ラマー、カニエ・ウェスト、レディオヘッドetc

超豪華アーティストによる
今の時代を映す名曲の数々。
ミュージカルを超えた
<プレイリスト・ムービー>の誕生。

本作の主役とも呼べるのは、今の音楽シーンをリードする豪華アーティスト達が手掛ける31の名曲。トレイ・エドワード・シュルツ監督が事前に本編に使用する楽曲のプレイリストを作成し、そこから脚本を着想し製作された。監督自身が“ある意味でミュージカルのような作品”と語るように、全ての曲が登場人物の個性や感情に寄り添うように使用され、時には音楽がセリフの代わりに登場人物の心の声を伝える。
従来のミュージカルとは一味違う<プレイリスト・ムービー>と呼べるだろう。加えて、オリジナル・スコアをナイン・インチ・ネイルズのリーダーとしてグラミー賞を受賞、映画『ソーシャル・ネットワーク』でアカデミー賞作曲賞を受賞したトレント・レズナーが手掛けていることも要注目だ。

躍動するサウンド、カラー、ストーリー
映画の無限の可能性を感じさせる135分

息もできないほどの感傷と明日への希望が、波のようにあなたを包む。

昨年9月のトロント国際映画祭で『パラサイト』『ジョジョ・ラビット』などアカデミー賞を争う注目作が上映される中、同映画祭始まって以来、最長のスタンディングオベーションを浴びたと一躍話題をさらった本作。「一生に一度の傑作」「今年、最もまばゆい体験」とメディアから熱狂的な支持を受けた。手掛けたのは名匠テレンス・マリックの元で腕を磨いてきた弱冠31歳のトレイ・エドワード・シュルツ監督。本作がまだ長編3作目でありながら、誰もが体験する青春の挫折、恋人との別れと出会い、親子の確執、家族の絆、そしてすべての傷を癒す愛といったさまざまなテーマを、実験的かつ現代的な手法で見事に描き切り、観客の心を鷲掴みにした。
スクリーンいっぱいに躍動するサウンド、息を呑むほど美しい色彩と独創的なカメラワーク、登場人物の心情を疑似体験させるストーリーテリングは、いまだかつてない映画体験だと称賛され、観る者に映画の無限の可能性を感じさせる。とりわけサウンドに乗ってカメラが360度回転するオープニングの7分間は圧巻だ。そして135分後、息もできないほどの感傷と明日への希望が胸に広がるだろう。

製作はアカデミー作品賞を受賞した『ムーンライト』、話題となった『ミッドサマー』を始め設立後わずか10年足らずでアカデミー賞の常連となった気鋭のスタジオA24。主人公を演じるのは、『イット・カムズ・アット・ナイト』に続きシュルツ監督とタッグを組むケルヴィン・ハリソン・Jr。主人公の妹には、Netflix「ロスト・イン・スペース」で注目を集めたテイラー・ラッセル。更に若手実力派ルーカス・ヘッジズ、大ヒットテレビシリーズ「THIS IS US」で全米大人気のスターリング・K・ブラウンなどが脇を固める。

ミュージック

物語を彩る豪華31曲のプレイリスト

♪FloriDada ♪Bluish ♪Loch Raven (Live) アニマル・コレクティヴ

♪Be Above It ♪Be Above It (LIVE) ♪Be Above It (Erol Alkan Rework) テーム・インパラ

♪Mitsubishi Sony ♪Rushes ♪Sideways ♪Florida

♪Rushes (Bass Guitar Layer) ♪Seigfried フランク・オーシャン

♪What a Difference a Day Makes ダイナ・ワシントン

♪La Linda Luna ケルヴィン・ハリソン・Jr.

♪Lvl エイサップ・ロッキー

♪Backseat Freestyle ケンドリック・ラマー

♪America ザ・シューズ

♪Focus H.E.R.

♪IFHY (feat.Pharrell) タイラー・ザ・クリエイター

♪Surf Solar ファック・ボタンズ

♪Love is a Losing Game エイミー・ワインハウス

♪I Am a God カニエ・ウェスト

♪U-Rite ♪U-Rite (Louis Futon Remix) THEY.

♪Ghost キッド・カディ

♪The Stars In His Head (Dark Lights Remix) コリン・ステットソン

♪Moonlight Serenade グレン・ミラー

♪How Great (feat. Jay Electronica and My Cousin Nicole) チャンス・ザ・ラッパー

♪Pretty Little Birds (feat. Isaiah Rashad) SZA

♪True Love Waits レディオヘッド

♪Sound & Color アラバマ・シェイクス

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STORYストーリー

STORY

傷ついた今日も、
癒えない痛みも、
愛の波が洗い流すー

高校生タイラーは、成績優秀なレスリング部のエリート選手、美しい恋人アレクシスもいる。厳格な父親ロナルドとの間に距離を感じながらも、恵まれた家庭に育ち、何不自由のない生活を送っていた。そんなある日、不運にも肩の負傷が発覚し、医師から選手生命の危機を告げられる。そして追い打ちをかけるかのように、恋人の妊娠が判明。
徐々に狂い始めた人生の歯車に翻弄され、自分を見失っていく。そしてある夜、タイラーと家族の運命を変える決定的な悲劇が起こる。

一年後、心を閉ざして過ごす妹エミリーの前に、すべての事情を知りつつ好意を寄せるルークが現れる。ルークの不器用な優しさに触れ、次第に心を開くエミリー。やがて二人は恋に落ちるが、ルークも同じように心に大きな傷を抱えていた。そして二人はお互いの未来のためにある行動に出る・・・。

THE CASTキャスト

ケルヴィン・ハリソン・ジュニア Kelvin Harrison Jr. |タイラー・ウィリアムズ役|

1994年、アメリカ・ルイジアナ州生まれ。双子の姉とともに音楽一家で育つ。名門ニューオーリンズ・センター・フォー・クリエイティブ・アーツでジャズを学びながら、地方の劇場でミュージカルに参加したことをきっかけに演技への情熱が芽生え、映画を勉強するためにニューオーリンズ大学へ進学。その後、『それでも夜は明ける』(13)、『エンダーのゲーム』(13)の端役から演技経験を積み、ヒストリー・チャンネル製作のテレビシリーズ「ROOTS/ルーツ」で、主役ウィンスロー役を見事獲得。2016年にサンダンス映画祭でグランプリと観客賞をW受賞した『バース・オブ・ネイション』(16・未)では、ナット・ターナーとともに逃亡する青年・サイモン役を感情豊かに演じ注目される。トレイ・エドワード・シュルツ監督の前作『イット・カムズ・アット・ナイト』(17)での演技が絶賛され、2017年ゴッサム・インディペンデント映画賞でブレイクスルー演技賞候補となる。オクタヴィア・スペンサー、ティム・ロス、ナオミ・ワッツと共演の『Luce』(原題)でも主演を務めるなど活躍がめざましい若手俳優である。

テイラー・ラッセル Taylor Russell |エミリー・ウィリアムズ役|

1994年、カナダ・バンクーバー生まれ。子供の頃からパフォーミングアーツに熱中し、高校卒業後は自らの演技への情熱に従い、キャリア1年目にして数多くの映画やテレビに出演。『Words on Bathroom Walls』(原題)ではチャーリー・プラマーの相手役を務め、『Dr. Bird’s Advice for Sad Poets』(原題)ではルーカス・ジェイド・ズマンとジェイソン・アイザックと共演。ほか出演作にテレビシリーズ「未開の帝国:立ち上がる女性達」、「フォーリング スカイズ」がある。Netflixオリジナルのヒットシリーズ「ロスト・イン・スペース」のジュディ・ロビンソン役を演じている。本作で共演したルーカス・ヘッジズと交際中。

スターリング・K・ブラウン Sterling K. Brown |ロナルド・ウィリアムズ役|

1976年、アメリカ・ミズーリ州生まれ。スタンフォード大学で演劇の文学士を取得して卒業後、ニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・アートで美術修士を取得。その後、俳優としてキャリアをスタートさせる。NBC放送の大ヒットテレビシリーズ「THIS IS US」に出演中。この作品のランダル・ピアソンの役で、エミー賞ドラマ部門主演男優賞を受賞したほか、この部門で3回連続候補となった。またゴールデン・グローブ賞ドラマ部門最優秀男優賞を受賞し、初のアフリカ系アメリカ人の受賞者となった。さらにブラウンは、SAGアワード(全米映画俳優組合賞)ドラマ部門最優秀主演男優賞も初のアフリカ系アメリカ人として受賞し、歴史に名を刻んだ。2018年タイム誌の世界で最も影響力のある100人の1人に選出。近年の映画では『ブラックパンサー』(18)や『ザ・プレデター』(18)に出演。『アナと雪の女王2』(19)、『アングリーバード2』(19)に声優として参加している。

レネー・エリス・ゴールズベリー Renee Elise Goldsberry |キャサリン・ウィリアムズ役|

1971年、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。南カリフォルニア大学ソーントン音楽学校でジャズ・ボーカルを学び、「ライオンキング」でブロードウェイデビューを果たす。「レント」のミミ役、「ヴェローナの二紳士」でシルヴィア役を演じ、批評家から高い評価を受けた。その後ミュージカルに旋風を巻き起こしたオフ・ブロードウェイ「ハミルトン」での演技で、トニー賞、グラミー賞、ドラマ・デスク・アワード、ルシール・ローテル賞を受賞。映画では『不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生』(17)、『ルイスと不思議の時計』(18)などに出演。現在Netflix「オルタード・カーボン」に出演中。

ルーカス・ヘッジズ Lucas Hedges |ルーク役|

1996年、アメリカ・ニューヨーク州生まれ。父は『ギルバート・グレイプ』(93)の原作・脚本を手がけたピーター・ヘッジズ。父が監督した『40オトコの恋愛事情』(07)で映画デビューを果たす。その後、ウェス・アンダーソン監督作『ムーンライズ・キングダム』(12)、『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)などに出演。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(16)で弱冠20歳にしてアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたほか、シカゴ映画批評家協会賞有望俳優賞など数々の賞に輝く。さらに同年、舞台「Yen」でオフ・ブロードウェイにデビューを果たす。2018年~19年にかけてケネス・ロナーガン作「The Waverly Gallery」でブロードウェイ・デビューを飾っている。主な出演作に『スリー・ビルボード』(17)、『レディ・バード』(17)、『ベン・イズ・バック』(18)、『ある少年の告白』(18)など。ジョナ・ヒルの監督デビュー作『Mid90s』(原題)や、シャイア・ラブーフの幼少期をもとにした『ハニー・ボーイ』(19)が控えるなど、今ハリウッドで最も将来を期待されている若手実力派俳優の一人である。

アレクサ・デミー Alexa Demie |アレクシス役|

1994年、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。2015年にNetflix「The OA」でデビューし、インディペンデント作品での端役や歌手活動を通じてキャリアを積む。彼女の名を一躍有名にしたのは、ゼンデイヤ主演、HBOのテレビドラマ「ユーフォリア/EUPHORIA」のマディー役。ジョナ・ヒルの監督デビュー作『Mid90s』(原題)にも出演。待機作にジア・コッポラ監督、アンドリュー・ガーフィールド共演の『Mainstream』(原題)がある。また自身のサングラスブランドも運営しており、ニッキー・ミナージュやジェニファー・ロペスにデザイナーとして衣装提供するほどのセンスの持ち主。

THE CREWスタッフ

|監督・脚本| トレイ・エドワード・シュルツ Trey Edward Shults

1988年、アメリカ・テキサス州生まれ。子供の頃から映画製作を始め、ビジネス・スクールに在籍後に映画界に飛びこむ。撮影アシスタントとしてテレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』(11)、『ボヤージュ・オブ・タイム』(16)、『Song to Song』(17・未)に撮影アシスタントとして参加している。映画監督としては短編『Mother and Son』(10・未)、『Two to One』(11・未)を製作。そしていとこのアルコール依存症が感謝祭での家族の再会でぶり返すという実話を基にした物語『Krisha』(14)がサウス・バイ・サウスウエスト映画祭で審査特別賞を受賞。翌年に本作を長編として完成させ、カンヌ映画祭批評家週間を含む多くの映画祭での上映を経て2016年にA24より公開された。同作でインディペンデント・スピリット賞のジョン・カサヴェテス賞、ゴッサム賞のビンガム・レイ新人監督賞、LA批評家協会賞のニュー・ジェネレーション賞、ニューヨーク批評家評価協会賞の最優秀初監督映画賞などを受賞。2作目は同じくA24製作の『イット・カムズ・アット・ナイト』(17)。一家を脅かす戸口の外の邪悪でミステリアスなものから何があっても妻と息子を守ろうとする父親の物語をホラー映画の要素を織り交ぜて描いた。

|音楽| トレント・レズナー、アッティカス・ロス Trent Reznor、Atticus Ross

ナイン・インチ・ネイルズのリーダーであるトレントとアッティカスが映画音楽家として一緒に仕事を始めたのは、デヴィッド・フィンチャー監督の『ソーシャル・ネットワーク』(10)。この作品で2人はアカデミー賞作曲賞を受賞。2人は同じくフィンチャー監督とタッグを組んだ『ドラゴン・タトゥーの女』(11)と『ゴーン・ガール』(14)の2作でゴールデン・グローブ賞作曲賞にノミネートされた。2016年にはグスターボ・サンタオラヤやモグワイと『地球が壊れる前に』(16・未)のためのオジリナル音楽を作曲。その他に手がけた作品にはピーター・バーグ監督『パトリオット・デイ』(16)やデイモン・リンデロフがプロデュースを務めるHBOのテレビドラマ「Watchmen」などがある。

|撮影| ドリュー・ダニエルズ Drew Daniels

2009年以来、40本以上の短編や長編映画を撮っている。『Thunder Road』は2016年サンダンス映画祭で短編部門審査員特別賞を獲得し、トレイ・エドワード・シュルツと組んだ『Krisha』(14)では、ヴァラエティ誌が彼を“必見の10人の撮影監督”の1人に選出した。『イット・カムズ・アット・ナイト』(17)に続き本作でもシュルツとタッグを組んだ。

|美術| エリオット・ホステッター Elliott Hostetter

才能にあふれ、先見性を持つ仕事ぶりでニコラス・ウィンディング・レフン監督『ネオン・デーモン』(16)や、ハーモニー・コリン監督『スプリング・ブレイカーズ』(12)などを手がけ、ルカ・グァダニーノ、フェルディナンド・シト・フィロマリノ、ケリー・ライヒャルト、ミランダ・ジュライ、ロマン・コッポラ、スパイク・ジョーンズ、テレンス・マリックなど偉大な監督たちと仕事するチャンスを得ている。またクリスティーナ・アギレラ「Your Body」、カニエ・ウエストの「Otis」のミュージックビデオもデザインしている。

|衣装| レイチェル・ダイナー=ベスト Rachel Dainer-Best

映画、舞台、テレビ、コマーシャルの分野で活躍中。トライベッカ映画祭でプレミア上映されたマーゴット・ロビー主演&プロデュース『Dreamland』(原題)や短編『Lavender』、サム・レヴィンソン監督『アサシネーション・ネーション』(18・未)などを担当。ブランダイス大学で美術史の文学士を取得している。

PRODUCTION NOTESプロダクションノート

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2つのパートで描かれた兄と妹の物語

監督で脚本家のトレイ・エドワード・シュルツは10年近く『WAVES/ウェイブス』の企画を温めてきた。ウィリアムズ家の兄と妹を描いたこの物語は、2つのパートに別れている。前半の物語で兄のタイラーは負のスパイラルに陥り、後半の物語は妹のエミリーの恋愛と再生が中心になって映画の雰囲気は変化する。明確なヴィジョンを持ったこの大胆な構成について、シュルツはこう説明する。
「ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』を観て、2つのパートに分けようと閃いたんだ。前半ではタイラー、後半ではエミリーにフォーカスしてそれぞれのカップルを描き、二人の両親が2つの物語を結びつけている」
ウィリアムズ家は上流の暮らしを得るために勤勉に働き、家長のロナルドは子供たちをまっとうに育ててきた。しかし、多くのアメリカの家族と同じようにウィリアムズ家も秘密と苦悩を抱えていた。
「タイラーは将来を嘱望されているレスリングのスター選手で、恋人のアレクシスに夢中だ。しかし、アイデンティティを形成する大切な時期に、勉強もスポーツもすべての分野で精一杯頑張るように父親からプレッシャーを与えられて、自分の恐怖や弱さを誰にさらけ出せばいいのかわからない。そして、悲劇的な展開を迎えるんだ」(シュルツ)
シュルツは脚本の初稿を書き上げると、すぐに前作『イット・カムズ・アット・ナイト』に出演したケルヴィン・ハリソン・Jrに送って出演をオファー。ケルヴィンは複雑で難しいタイラーに魅了されて、シュルツと役作りについて綿密に話し合った。ケルヴィンはタイラーについて、こんな風に説明する。
「トレイの映画はリアルであることにこだわっている。だから今回は、役作りのために自分が感じているプレッシャーや不安に向き合わないといけなかった。タイラーは怪物じゃない。人は過ちを犯しても受け入れられるべきだし、簡単に非難すべきじゃないんだ。俺は〈タイラーを守らないといけない〉っていう気持ちになった」
一方、エミリー役のテイラー・ラッセルはオーディションによって選ばれた。シュルツはテイラーに「内なるパワーやカリスマ性のようなものを感じた」という。主にテレビで活動してきた彼女にとって、エミリーは重要な役だった。
「脚本を読んで、すぐに私はエミリーに強い絆を感じました。彼女の声は私の中にもある。彼女と自分には重なる部分がすごくありました。だからプレッシャーを感じずにキャラクターを研究して、どう表現したいか考えることができたんです」(テイラー・ラッセル)

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抱き合う二人 抱き合う二人 話合う家族 moreinfo
話合う家族

登場人物の感情と一体化する音楽

音楽を愛するシュルツは、当初から『WAVES/ウェイブス』を『ブギーナイツ』や『グッドフェローズ』のように、音楽が重要な意味を持つ物語だと考えていた。ケンドリック・ラマー、フランク・オーシャン、レディオヘッド、アニマル・コレクティヴなど、様々なミュージシャンの曲がサントラに使われている。とくに5曲も使用されたフランク・オーシャンは、シュルツのお気に入りのアーティストだ。
「脚本を書く前から、プレイリストを作ったり、脚本に曲の歌詞を書き込んだりした。というのも、歌詞が物語が進む方向やキャラクターの感情を説明してくれるからね。フランク・オーシャンは大好きなアーティストで、『イット・カムズ・アット・ナイト』の制作中にリリースされた「Blonde」は史上最高の一枚。アルバムをノンストップで聴きながら映画を作っていたんだ」(シュルツ)
フランク・オーシャンからの影響は、劇中で反抗心を抱いたタイラーが、オーシャンと同じように髪を白く染めることからも見て取れる。そして、シュルツから完成した脚本を受け取ったキャストは、この映画が型破りな作品だということに気付かされた。脚本にはサントラに使われた曲のリンクが記されていて、その音楽を聴けばキャラクターがどんなことを体験しているかがわかるようになっていたのだ。
さらに、オリジナル・スコアをアカデミー賞受賞コンビ、トレント・レズナーとアッティカス・ロスが担当。シュルツは10代の頃、レズナーのユニット、ナイン・インチ・ネイルズのファンだったことからオリジナル・スコアを依頼。レズナーは『イット・カムズ・アット・ナイト』を観てシュルツのことをすでに知っていて、シュルツは一緒に仕事をしたい監督のリストに入っていたという。レズナーとロスは、映画に登場する様々な効果音や役者の音声をサンプリングした素材をもとに独創的なサウンドを制作。あえてメロディーを強調しない音楽が、登場人物の感情の動きを巧みに浮かび上がらせている。

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窓から身を乗り出す女性 窓から身を乗り出す女性 moreinfo

様々な手法を駆使した映像表現

これまでも、シュルツはカメラワークやアスペクト比、レンズのサイズを駆使して、キャラクターの感情を伝えようとしてきた。今回も何度もタッグを組んでいるカメラマン、ドリュー・ダニエルズと協力して撮影に挑んだ。現代の若者の落ち着かない心理状態に沿って物語が語られていくように感じられるのは、ダニエルズの自由奔放なカメラワークのおかげだ。
「大切なのはキャラクターの頭の中に入ることだ。物語の冒頭、タイラーはどんな人生でも歩めるように感じている。彼は自由で恋をしていて開放的な気分なんだ。だから画面のアスペクト比は1:85という広さになっている。でも、状況が悪くなるとアスペクト比は狭くなる。人生の浮き沈みを表す、というモチーフを保ちながら、タイラーの心理状態の変化に伴ってカメラワークやアスペクト比は変わっていくんだ」(シュルツ)
その言葉どおり、エミリーの物語ではアスペクト比は1:33で始まり、彼女がルークと出会って恋愛関係になるとアスペクト比は広がっていく。

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面会するカップル 面会するカップル moreinfo

悲しみを乗り越えた先に

『WAVES/ウェイブス』は無数の愛の形を通じて、愛がどのように人々を引き離し、そして引き寄せるか探求する。そして、破滅寸前まで追いやられた家族が、愛や絆を通して復活する様子を力強く描き出していく。
「愛は破壊的にもなるし癒しにもなる。愛は人生を前向きにしてくれるけど、愛も人生もそんなにシンプルじゃない。この映画は、恋人や家族に対する愛情の起伏や、何かに情熱を持つことの意味。そして、すべてが崩壊した時に何が起こるかを描いているんだ」(シュルツ)
シュルツは映像と音楽の見事なコラボレーションを通じて、愛と喪失がどれほど深く人生に影響を与えるか明らかにしていく。そして、心の傷を負った兄と妹は、生きる意味を見出そうとそれぞれの道を歩む。
「彼らは苦しみを乗り越えるだろう。それがこの物語の核心であり、伝えたかったことだ。大人になるに従って、人生は最悪の状態で終わるわけではないことに気づいた。人生は続く。そして、自分や自分が愛する人はともに成長して、お互いを癒すことができるんだ」(シュルツ)

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THE ANNOTATED PLAYLIST BY THE DIRECTOR

『WAVES/ウェイブス』はある意味でミュージカルだ。

脚本の最初の下書きから映画の最終版に至るまで、監督/脚本のトレイ・エドワード・シュルツはすべてのシーンで、パーソナルな楽曲を選んでいる。これらの楽曲は登場人物たちの内面を明らかにし、映画のイメージやテーマと密接に結びつく極めて重要なものだ。監督自身による、オリジナルスコアも含めた映画で使われた39曲の楽曲解説。読みながら耳を傾ければ、頭の中で映画のすべてが聴けるだろう

  • 1:「FloriDada」アニマル・コレクティヴ
  • 2:「Be Above It」テーム・インパラ
  • 3:「Mitsubishi Sony」
    フランク・オーシャン
  • 4:「What a Difference a Day Makes」
    ダイナ・ワシントン
  • 5:「La Linda Luna」
    ケルヴィン・ハリソン・Jr.
  • 6:「Lvl」エイサップ・ロッキー
  • 7:「Bad News」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス
  • 8:「Odds Against」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス
  • 9:「Rushes」フランク・オーシャン
  • 10:「Backseat Freestyle」
    ケンドリック・ラマー
  • 11:「Everything Burns」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス
  • 12:「America」ザ・シューズ
  • 13:「The Light Shines Through」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス
  • 14:「Focus」H.E.R
  • 15:「IFHY(feat.Pharrell)」
    タイラー・ザ・クリエイター
  • 16:「Surf Solar」ファック・ボタンズ
  • 17:「Love is a Losing Game」
    エイミー・ワインハウス
  • 18:「I Am a God」カニエ・ウェスト
  • 19:「U-Rite/ U-Rite
    (Louis Futon Remix)」THEY.
  • 20:「Be Above It (Erol Alkan Rework)」
    テーム・インパラ
  • 21:「Ghost」キッド・カディ
  • 22:「The Stars In His Head
    (Dark Lights Remix)」コリン・ステットソン
  • 23:「After the Fire」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス
  • 24:「Wounds Heal」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス
  • 25:「How to Begin」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス
  • 26:「Moonlight Serenade」
    グレン・ミラー
  • 27:「What a Difference a Day Makes」
    ダイナ・ワシントン
  • 28:「Loch Raven (Live)」
    アニマル・コレクティヴ
  • 29:「How Great (feat. Jay Electronica and
    My Cousin Nicole)」チャンス・ザ・ラッパー
  • 30:「Sideways」フランク・オーシャン
  • 31:「Florida」フランク・オーシャン
  • 32:「Rushes (Bass Guitar Layer)」
    フランク・オーシャン
  • 33:「Bluish」アニマル・コレクティヴ
  • 34:「Pretty Little Birds
    (feat. Isaiah Rashad)」SZA
  • 35:「Seigfried」フランク・オーシャン
  • 36:「Ties」トレント・レズナー&アッティカス・ロス
  • 37:「Leaving Missouri」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス
  • 38:「True Love Waits」レディオヘッド
  • 39:「Sound & Color」
    アラバマ・シェイクス
  • MORE
  • 1:「FloriDada」
    アニマル・コレクティヴ

    僕はアニマル・コレクティヴが大好きだ。フロリダも好きだし、この曲のエネルギーと混沌が気に入っている。『WAVES/ウェイブス』は、厄介な人間の経験と人生の二面性(不快と美しさ、善と悪、個人と家族)にまつわる作品だ。この曲のブリッジ部分だけを使ったのは偶然ではない。橋は映画全編で使われる力強い視覚的モチーフだ。橋(ブリッジ)で始まり橋(ブリッジ)に終わる。

    その橋こそが家へといざなう
    戦いの終わりを告げる橋
    代償を払った橋
    古い橋には、さよならを告げよう

  • 2:「Be Above It」
    テーム・インパラ

    これはテーム・インパラの中で大好きな曲の1つであり、タイラーの世界の流れを観客に紹介する完璧な方法でもある。僕にとって、繰り返される“超えていけ”というささやき声は、タイラーの内面を観客に示すものだ。初めてこの曲を聴いた時、僕は心を奪われた。スタジオ・バージョンとライブ・バージョンを組み合わせることにしたのは、インスト・バージョンが映画の序章のようだったからだ。

  • 3:「Mitsubishi Sony」
    フランク・オーシャン

    この映画では、フランク・オーシャンのアルバム「Endless」の曲を使いたかった。「Blond」や「Channel Orange」など、フランクの他のアルバムと比べてあまり知られていないからだ。これは「Mitsubishi Sony」のリマスター版で脚本段階では使用予定ではなかった数少ない曲のうちの1つだ。元々は曲の導入部分を使っていたが、とても映画に合ったので、曲を丸ごと使おうと編集中に決めた。愛する人たちと夜更けまでパーティーをしていてハイになった気分のようだ。さらに、この曲はタイラーやアレクシスが車の中で歌うオリジナル曲「Shut the fuck up!」と連携している。車中シーン撮影の時に、トランシーバーで指示を与える僕に、アレクシス役のアレクサが「黙ってて!(Shut the fuck up!)」と叫んだことからできた即興曲。

  • 4:「What a Difference a Day Makes」
    ダイナ・ワシントン

    初めてウォン・カーウァイの『恋する惑星』を見て、この曲が流れた時を覚えている。僕は恋に落ちた。あの映画に対するオマージュであり、子供時代を懐かしく思う気持ちの表現でもある。映画は次第に盛り上がっていき、タイラーの生活と物語が始まった翌日で、教会にいて家族の生活がもっと分かり始める。歌詞は後に映画の中でつらい意味を帯びる一方、希望にあふれてもいる。たった1つの過ちが人生を永遠に変えてしまうこともあるが、新たな癒やしの日は必ずやって来る。このシーンを撮影した後、タイラー役のケルヴィンが家に帰ると、実の母親がこの曲を歌い始めた。彼が幼い頃、彼女はいつも彼にこの歌を歌いかけていたのだという。運命を感じたよ。

  • 5:「La Linda Luna」
    ケルヴィン・ハリソン・Jr.

    これはケルヴィンのオリジナル曲だ。正直に言って、彼は真の音楽の天才だ。ケルヴィンの父親はすばらしいミュージシャンで、彼らの親子関係がこの映画に多大な影響を与えた。「La Linda Luna」というタイトルは、アレクシスのミドルネーム、ルナ(かわいい月)にちなんだものだ。人間関係がどのように崩壊し、愛し合う2人がいかにして悲しい場所に行きついてしまうのかを探りたかった。

  • 6:「Lvl」
    エイサップ・ロッキー

    これは映画の中で僕のお気に入りのカットの1つだ。タイラーの人生が永遠に変わってしまう直前、MRIの中でこの曲のビートが上昇していくサウンドが、音楽と映像のシンクロを示している。タイトルは僕にとって人生とは何かだ。浮き沈みが激しく、皆異なる。

  • 7:「Bad News」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス

    これはタイラーがMRIの検査結果を聞いた直後、すぐ不安に襲われるシーンで最初に聞こえてくる曲だ。この瞬間まで映画オリジナルのこの曲をとっておいたのは、サウンドトラックとの違いを感じてほしかったからだ。トレントとアッティカスはこのトラックで映画のサウンドを操り、タイラーの心境を観客に伝えてくれた。ピアノもこの曲の重要な要素だ。タイラーが演奏するシーンで、持ち続けようと努力していても純粋さが失われていくのが分かる。この曲は、タイラーの本音と感情の内なる戦いを明らかにしている。

  • 8:「Odds Against」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス

    「Bad News」が終わると、タイラーと父親の間に緊張した雰囲気が漂う。両親からの期待は、成功せねばという乗り越えられないプレッシャーだ。これは僕自身にとってとてもパーソナルな曲だ。僕は今も、高校時代にレスリングで負った肩の傷がある。僕の全世界が崩れ去り、それまでの努力がすべて無に帰した。ひどいビデオメディアの授業を取ったことで僕は救われた。再びカメラを持ち、撮影するよう強いられたんだ。この映画でトレントとアッティカスと一緒に仕事ができて、夢が叶った。

  • 9:「Rushes」
    フランク・オーシャン

    いい時も悪い時もある

    僕が大好きなフランクの楽曲の1つで、人間関係の浮き沈みを描いている。タイラーとアレクシスが水の中にいるシーンを撮影していた時、フロリダの熱雷が発生し幻想的だと感じたのを覚えている。映画の後半で起きることを映す鏡として、この曲を使った。

    水の深さが十分であることを願う

  • 10:「Backseat Freestyle」
    ケンドリック・ラマー

    ケルヴィンは撮影の日に歌詞を覚えなくてはならなかった。ハイな状態から抜けたタイラーの心理状態を反映するため、曲のペースを落とした。このトラックは、16歳の頃の自分自身の気持ちを再構築したものだとケンドリックは言う。タイラーが反発し苦しみから逃れようとするこの瞬間に、とてもマッチしていると思う。解放されるが、ほんの一瞬だけだ。

  • 11:「Everything Burns」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス

    このトラックはタイラーの苦悩と後悔を浮き彫りにしている。関係が壊れ始め、彼は失われた愛を夢に見ている。タイラーとアレクシスの(焚火の)炎の中のショットは、かなり気に入っている。トレントとアッティカスが繰り返すこのテーマは、あと2回、極めて重要な喪失と苦痛の瞬間にも流れる。水はこの映画の大事な要素だ。キャラクターたちの気持ちが通じ合う大切な瞬間は、水の中か水辺にいる。これは視覚的に破壊を示す炎とバランスを取っている。

  • 12:「America」
    ザ・シューズ

    ジェイク・ギレンホールが意識高い系の若者たちを殺す傑作ミュージックビデオを見て以来、この曲が大好きだ。この曲の展開は、シューズがアメリカ中を移動しているようで、タイラーと友人のエネルギーとマッチする。

  • 13:「The Light Shines Through」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス

    この曲は、映画の中で初めてタイラーが本当に精神的に打ちのめされる時に流れる。彼はもろさと内に秘めていた感情のすべてをさらけ出す。悲劇に襲われる前、妹のエミリーと深く結びつく最後の瞬間であり、彼女の中に永遠に残る大切な瞬間だ。ピアノが奏でるテーマはとても気に入っている。理由は極めてパーソナルなものだ。トレントとアッティカスは、僕がとてもつらかった時にこのトラックを送ってくれて、僕は聴いた途端に泣き出してしまった。この曲は映画の要、苦しみの先にある美しさ、そして癒やしてくれる誰かだ。このトラックのアルバム・バージョンをここに入れた。映画では、このトラックは同じメロディーだが短くなっている。

  • 14:「Focus」
    H.E.R.

    ケルヴィンはアレクサと初めて会った時、この曲に合わせて踊る彼女を見事にビデオで撮った。だからこの曲は自然とこの映画の一部になったが、元々は脚本になかった。アレクサ演じるアレクシスの心がこの曲を通して観客に伝わり始める。僕には、もがき苦しみ終わりを迎えようとする関係に思える。このトラックと次のトラックとの間で交わされる会話が好きだ。2人のキャラクターが、恋人に対して自分の気持ちをどう表現すればいいのか分からず苦しんでいる。

    僕を見つめていてくれる?
    ベイビー、僕を見つめていてくれる?
    分からない?
    ただ君を愛したいんだ、ベイビー

  • 15:「IFHY(feat.Pharrell)」
    タイラー・ザ・クリエイター

    お前が憎い、でも愛してる
    俺は気持ちを隠しておくのが苦手だ
    お前はパーフェクトでいるのが得意
    俺たちは面倒に巻き込まれるのが得意

    この曲がメチャクチャ大好きだ。「IFHY」は僕が子供の頃に聴いた思春期のラブソングのようなものだ。僕は高校生の頃こんな曲をかけながら、恋人のことが原因で自分の部屋を破壊した。子供じみていたかもしれないが正直な気持ちだった。よくも悪くも、つらい時は音楽に助けられた。だからこそ、タイラーとエミリーの経験が率直に伝わるようなサウンドトラックにしたかった。

  • 16:「Surf Solar」
    ファック・ボタンズ

    この曲には前に進もうとする力とエネルギーがあり、タイラーの経験を正直に表現していると感じる。このシーンでタイラーと一緒にいなくても、“何かを見逃すのではと不安になって”怒れるティーンエイジャーをイメージするだろう。

  • 17:「Love is a Losing Game」
    エイミー・ワインハウス

    これはエイミー・ワインハウスの不朽の名曲だ。タイラーの視点からエミリーの視点へと移り変わる時に流れる。エイミーのトラックの中でも大好きな曲で、僕が気に入っているシーンの最後で使われる。しばらくひどい目に遭った後は息抜きが欲しかった。そして、エミリーとアレクシスという2人の若い女性たちが互いに結びつくシーンが欲しかった。皆の夜がこのシーンのように楽しくあるべきだ。この曲に合わせて踊るアレクシスの表情が大好きだ。

  • 18:「I Am a God」
    カニエ・ウェスト

    曲の使用許諾を得るのが難しく長い時間がかかり、テルライド映画祭とトロント国際映画祭が終わるまで許可をもらえなかった。ありがたいことに、カニエは承諾してくれた。なぜなら僕は「Yeezus」のすべての曲が大好きだからだ。別の曲も数えきれないくらい試したがダメだった。タイラーが父親に打ち勝った直後、“俺は神だ”という歌詞の力強さとパワーが欲しかった。とても悲劇的で、タイラーはパニック状態のようだ。ジョニー・バーンが自分のサウンドデザインをこのトラックと組み合わせた方法と、僕らがそれをミックスしたやり方に満足している。

  • 19:「U-Rite/U-Rite(Louis Futon Remix)」
    THEY.

    このシーンは1カットで撮影したから、この曲がしっくりハマるんだろう。神経質な警告のようだ。このシーンでは皆に音楽と触れ合ってほしかったので、本物のパーティーのように感じられるよう、この曲はその場でライブでかけた。撮影現場で音楽をかけるのは、いいエネルギーを作る上で大事なことだ。映画では、このトラックの最後はトレントとアッティカスの音楽と結びつき、再びタイラーの心境を表す。オリジナルとリミックスを組み合わせることで、さらに独特な力強さが感じられる。歌詞が「バックシート・フリースタイル」とティーンエイジャーの気持ちへと呼び戻してくれるところが気に入っている。

  • 20:「Be Above It (Erol Alkan Rework)」
    テーム・インパラ

    再びこの曲を使ったのは、タイラーが元いたところからどれほど転落してしまったかを示すためだ。胸が張り裂けるよ。

  • 21:「Ghost」
    キッド・カディ

    「Ghost」は憂うつを歌った美しい曲で、キッド・カディの曲の中でも特に気に入っている。タイラーの世界は急速に崩壊するが、彼には状況を飲み込む時間がなく、その結果、重いうつ状態に陥る。これはタイラーの人生におけるつらい瞬間を表す重要な曲であり、ピアノ・バージョンの「Bad News」とも関連している。

    出会った人々と訪れた場所
    そのすべてが俺を一人前の男にしてくれた
    でも1つだけ知りたいことがある
    俺はいつゴーストになった?
    この世界に困惑している
    俺は孤独だって? そうかもしれない
    今も俺を苦しめることが1つだけある
    俺はいつゴーストになった?

  • 22:「The Stars In His Head(Dark Lights Remix)」
    コリン・ステットソン

    僕はコリン・ステットソンの作品から、かなりインスピレーションを得た。非常に人を駆り立てる、根源的で恐ろしい作品だ。悪夢が現実になったかのような、夜を切り裂く原初の遠吠え。このシーンについて、父親役のスターリング・K・ブラウンと何度も話し合った。なすすべのない負のスパイラル、現実となったタイラーの最悪の悪夢、そしてこの悲劇が皆に及ぼす影響を感じさせる必要があった。タイラーとエミリーが負のスパイラルに陥り、観客が皆のつながりを感じる時も、二人の物語はどちらも極めて主観的で、それぞれの物語が終わるまで厳密に各自の視点から描かれる。

  • 23:「After the Fire」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス

    これは炎のところでタイラーとアレクシスの間に流れる、トレントとアッティカスが作ったテーマ曲の続きだ。目的はこの悲劇の圧倒的な重さを深く感じさせることだった。僕には、この映画はショッキングで凄惨で嘆かわしく感じられる。皆の人生が永遠に変わるんだ。このシーンを編集していた時、僕はこらえ切れずに数時間泣いた。この曲は兄から妹への精神的な移り変わりを表している。エミリーは暗闇のトンネルから出て、新たな章が始まる光の中に入っていく。

  • 24:「Wounds Heal」

    これはトレントとアッティカスが送ってくれた22分のオリジナルトラックだが、映画版は少し異なる。このトラックはエミリーの心の状態、つまり隔絶と深い苦悩を表現している。ここで使われるピアノの演奏のテーマは、乗り越えようとする彼女の精神を表す。ピアノのテーマを使うのはこれが二度目だ。最初は映画の冒頭で、タイラーとエミリーがバスルームにいるところだ。様々な理由から、ここでもう一度使うべきだと感じた。深い悲しみに暮れていても、この映画は新たな始まりを迎える。

  • 25:「How to Begin」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス

    新しく出会った人に心を開くのは、得てして恐ろしいことだ。エミリーのような体験をした後では尚更だ。この曲はバランスと二面性を表している。彼女は好奇心旺盛だが警戒心が強く、希望に満ちているが慎重だ。

  • 26:「Moonlight Serenade」
    グレン・ミラー

    これは悲劇が起こった後で最初に聴こえてくる、この作品のためのスコアではない音楽だ。時を超越した、美しく希望に満ちた曲。そして僕と恋人にとって非常にパーソナルな曲でもある。僕はいつだって彼女の助けがなければ大変だった。

  • 27:「What a Difference a Day Makes」
    ダイナ・ワシントン

    これは二面性に関する映画なので、互いを非難し反映する瞬間が重要だった。ダイナーに戻りこの曲を再び使うことは、エミリーと家族の歴史にとって間違いなく大事だ。つらい時を乗り越えるために音楽が使われる、映画の中のささやかな瞬間。この曲に勇気づけられてエミリーは心を開く。

  • 28:「Loch Raven (Live)」
    アニマル・コレクティヴ

    愛を探し求め新しい何かを始めることは、本当にすばらしい経験だ。アニマル・コレクティヴにとってこの曲が何を意味しているかは僕には分からないが、僕にとっては、光と愛の方へと魂を押し進めてくれる気がする。映画でライブ・バージョンを使うのは、より鮮明に感じられるからだ。僕が用いた主な歌詞は“僕は君を見捨てない”このフレーズと音楽を合わせると、とても美しいと思う。愛を感じる。

  • 29:「How Great (feat. Jay Electronica and My Cousin Nicole)」
    チャンス・ザ・ラッパー

    このトラックはヒップホップとゴスペルが融合した最もパワフルなトラックの1つだ。チャンスがこの曲を使わせてくれて感謝している。彼は最高だ。この曲が彼にとっていかにパーソナルなものか話してくれた。キャラクターたちが困難を乗り越えるという映画なので精神性は重要な要素だ。精神性と愛、僕らを取り巻く美のすばらしさを称賛するために、このトラックを使いたかった。このシーンを撮影したのは、フロリダにあるお気に入りの湧き水のところだ。行くたびにマナティーを見る。

  • 30:「Sideways」
    フランク・オーシャン

    アルバム「Endless」に入っている次のすばらしいトラックにつなげるためだけに、この曲の最後の部分を使った。

  • 31:「Florida」
    フランク・オーシャン

    もしかしたらフランクはフロリダの湧き水に飛び込んでマナティーと泳いだことがあるのかも?この曲がなぜ「フロリダ」と呼ばれるのか分からないが必然だったんだろう。ここの撮影はすばらしかった。カヤックをひっくり返して、僕は携帯と財布をなくしたけど気にしなかった。この日は僕の人生で最高の日だと感じた。

  • 32:「Rushes(Bass Guitar Layer)」
    フランク・オーシャン

    この曲は映画に漂うタイラーの感情を表している。このインスト・バージョンは、ビジュアルアルバム「Endless」がリリースされる前にライブ配信で見つけた。「Rushes」のインスト・バージョンを復活させて、タイラーとアレクシスの海でのすばらしいひと時を呼び戻したかった。打ちのめされるシーンの後、物悲しさが浮き彫りになる。

  • 33:「Bluish」
    アニマル・コレクティヴ

    南フロリダの高校生はアニマル・コレクティヴを聴いているだろうかと質問されたことがある。聴いてないと言うのは安易すぎる。タイラーとエミリーは聴いているだろう。僕は高校生の頃、当時人気だった曲だけではなく、新しくて変わった音楽をいつも探していた。タイラーとエミリーの好みも、それと同じようにしたかった。

  • 34:「Pretty Little Birds (feat. Isaiah Rashad)」
    SZA

    君は羽の中にいるフェニックス
    海の波で傷ついた
    波に殺され、押し流されるだろう
    でも君は空を飛べる、海を泳げる

    エミリーのこの瞬間は大好きだ。すべてから解放され楽しみを享受する。観客にも彼女と一緒にその気持ちを感じてほしかった。この映画の中で大好きなシーンの1つは、エミリーが車の窓から身を乗り出すシーンだ。冒頭のタイラーの同じシーンを反映している。

    俺は君の黄金のガチョウになりたい
    君のために足の毛を剃りたい
    髪を全部下ろして、君に触れさせたい
    手足を広げて、君に触れさせたい。

  • 35:「Seigfried」
    フランク・オーシャン

    それはループ
    ループの反対側はループ
    これはドラッグをキメてる時の感覚

    何年も聴き続けるうちに、この曲の歌詞は変化し新しい意味を持つようになった。このシーンは、映画の冒頭の一場面である若い恋のメタファーを再現している。エミリーとルークが、タイラーとアレクシスの関係と同じような状態にあるのが分かる。でも観客は憂うつだ。なぜなら前にも同じものを見て、それは失われたからだ。ロードトリップは僕にとって忘れがたい思い出であり、恋人との関係において大切なものだった。その体験でどんな感情を抱いていたかを再現することが僕には重要だった。死に際の父親を訪ねようとした僕はとても世間知らずだった。到着するまで完全には理解していなかった。僕はただ愛する人と一緒に旅をすることに興奮していた。サウンドミックスの作業は、胸が締めつけられるようだった。このシーンは当時の体験を精神的に再現しているような感覚だった。

    ニルヴァーナといえば、そこにいた
    ダッシュボードの上にあるフェニックスの羽のように貴重だ
    そこには俺の曲がった歯と眠っている仲間
    こんな夢を見る
    夢想家のことを考え
    夢のことを考え、ぼんやりと神を見る

  • 36:「Ties」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス

    観客はこのトラックを聴くと、記憶の中に生きている気がする。美しさと物悲しさがバランスを保っているように感じる。

  • 37:「Leaving Missouri」
    トレント・レズナー&アッティカス・ロス

    スコアの中でこのトラックは、エミリーの内面に起きたことを説明する上で重要だ。彼女は再び死のそばにいるが、今回、死は許しと結びついている。エミリーはずっと苦しんできた。兄を許すだけではなく、彼女は自分自身を許す。1つの家族は終わりを迎えるが、彼女の家族の状況を変えるのに遅すぎることはない。許しはとても簡単に思えるが、とてつもなく難しい。

  • 38:「True Love Waits」
    レディオヘッド

    最初に「True Love Waits」のこのバージョンを聴いた時、僕は泣いてしまった。ああ、僕は多分、泣きすぎている。ただひたすら泣き続け、聴き直した。彼らがスタジオ・バージョンをレコーディングするのを長い間待ってくれてよかった。このバージョンを出すまでに彼らは試行錯誤を繰り返してきて、その結果がここに表れている。これがその結果だ。映画の中でこの瞬間にエミリーの視点から離れるのは、彼女が内面のある部分に到達するからだ。ここからは両親が悲しみと向き合う。実際には一緒にいることがほとんどなくても、つながっていることを皆に感じてほしかった。僕の人生、特に高校時代において、音楽は非常に重要なものだったので、この映画はサウンドトラックを重視した映画にしようと意図して作った。大好きなレディオヘッドの曲よりも、この映画のラストにふさわしい曲を僕は知らない。

    どうか行かないで
    行かないでくれ

  • 39:「Sound & Color」
    アラバマ・シェイクス

    同名タイトルのアルバムの1曲目だが、映画ではラストに流れるのがいい。この曲は間違いなくこの映画の世界観を物語っている。この瞬間この曲は、僕らに必要な、待ち望んでいた希望を感じさせる。エミリーは旅を続ける。険しい道だと分かっているが、彼女は希望を持って、癒やしと新たな始まりに向かって進む。

    新しい世界が窓の外にぶら下がっている
    美しく奇妙な音と色
    私と共に、心の中で
    音と色のある人生を

スタンディングオベーション トロント国際映画祭史上 最大の歓声! ハリウッド・レポーター誌ほか有力誌がこぞって年間トップ10映画に選出!

★★★★★「一生に一度の傑作!」―Variety

★★★★★「ノックアウト!」―The New York Times

★★★★★「心が引き裂かれる作品」―The Hollywood Reporter

★★★★★「息をのむ美しさ」―Los Angeles Times

★★★★★「今年、最もまばゆい体験」―THE RINGER

★★★★★「今の瞬間を映し出した作品」―GQ

受賞一覧
AWARDS AWARDS

WAVES
ウェイブス

WAVES-ウェイブス-

監督・脚本:トレイ・エドワード・シュルツ(『イット・カムズ・アット・ナイト』)

出演:ケルヴィン・ハリソン・Jr、テイラー・ラッセル、スターリング・K・ブラウン

レネー・エリス・ゴールズベリー、ルーカス・ヘッジズ、アレクサ・デミー

作曲:トレント・レズナー&アッティカス・ロス(『ソーシャル・ネットワーク』、『ゴーン・ガール』)

監督・脚本

トレイ・エドワード・シュルツ
(『イット・カムズ・アット・ナイト』)

出演

ケルヴィン・ハリソン・Jr

テイラー・ラッセル

スターリング・K・ブラウン

レネー・エリス・ゴールズベリー

ルーカス・ヘッジズ

アレクサ・デミー

作曲

トレント・レズナー&アッティカス・ロス
(『ソーシャル・ネットワーク』、『ゴーン・ガール』)

配給:ファントム・フィルム

原題:WAVES /2019年/アメリカ/英語/ビスタサイズ /135分/PG12

©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

配給

ファントム・フィルム

原題

WAVES

2019年/アメリカ/英語/ビスタサイズ /135分/PG12

©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

4/10(金)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー